武留の部屋はやはり生徒会の特別フロアにあった。
すでに生徒会全員の部屋に入っている僕って一体……。
テレビ局のみで飾られていたポスターを頂いて、僕はホクホクだ。
武留はなにかのツテで入手したらしい。
武留のお家は桁外れてお金持ちだから、まぁ驚くことではない。
今までもこういう僕のツボを突く贈り物をくれたことが何度もある。
武留は唯一僕の腐の趣味を理解してくれる人で、そういう意味では気楽な存在だ。
「それでね、僕は副会長とエンジェルがくっつくのを期待しているんだよ」
「うんうん」
「でもね、まさかの2人ともツンデレでさ。僕を当て馬にしちゃって、全然進展しないの!」
「めぐちゃんを当て馬にするなんて許せないな。殺してやろうか」
「うふふ。でもいいの。2人がくっつけば僕はそれでオッケーだから」
「……うーん、あの2人はくっつかないと思うけど」
「え? なんか言った?」
「ううん。めぐちゃん可愛い。2人がくっつけばいいね」
「うん! 同じ生徒会として援護してね!」
武留がにこにこしながら僕を見てくる。
必死におねだりすると、武留はうんうんと頷いてくれたから多分力になってくれるだろう。
「めぐちゃん。そろそろ夕ご飯の時間だよ。食堂に食べに行こう」
「うん」
武留と連れ添って、食堂に入るとどうやらごはん時だったらしい。
食堂には人がいっぱいで、武留が足を踏み入れた瞬間、「きゃああああ!」と黄色い悲鳴が響いた。
「……う、うるさ。これ、武留に叫んでるのか」
「うるさいよね。黙って死ねばいいのに」
「それは言いすぎ」
武留と一緒に近くの空いている席に腰掛ける。
どうやら武留が1ヶ月ほど休学していたから、余計に騒いでいるようだ。
「大和様、お元気そう!」「書記様が食堂に! すごくレア!」「両足複雑骨折だなんておいたわしい……」など声が聞こえてくる。
「武留、人気なんだねぇ」
「めぐちゃん、何食べる? なんでもごちそうするよ!」
「シェフの気まぐれディナー」
「気まぐれでいいの? お肉が好きだよね。気まぐれディナーにステーキ入れてもらうように頼もうか?」
「いや、もうそれすでに気まぐれじゃないから」
武留がウエイターを呼びつけて、気まぐれディナーの中身にとやかく注文するのを黙って見ていた。