馬鹿な子は可愛いです!
武留はてきぱきと僕の制服のシャツのボタンを留めてくれて、ベルトまで締めてくれた。
しかしやはりパンツは返してくれなかったので、今の僕はノーパンだ。
スースーするけど決して返してくれなさそうだったから無駄な抵抗はやめた。

「ベルトはもう少しストーンが付いた可愛いのがいいな」とかぶつぶつ言っているのは無視だ。
そのうちまた贈られてくるだろう。


「てか、武留、6時間目だけでも授業出るよ」

「えー、1時間だけだしもういいでしょ。久しぶりに再会したんだし一緒にいたい」

「ダメだよ。僕、馬鹿だし授業聞かないと」

「理事長、めぐちゃんに甘々なんだからちゃんと進級できるよ。それに、めぐちゃん。とっておきのプレゼントあるよ」

「なに? パンツとかなら足りてるよ。いやまぁ今ノーパンだけど」

「違うよ。めぐちゃん、この前深夜にやってたアニメのキャラの非売品ポスター、手に入れておいたよ。あのアニメ好きでしょ?」

「え! うそ! 本当!?」

「うん。腐女子人気高いって言ってたから、多分めぐちゃんも好きだろうと思って」

「好き! 大好き!」

「好きの前に武留って付けて」

「……タケル、スキ、ダイスキ」

「棒読みだけど、可愛いからいいや。部屋においでよ。ポスターあげる」

「きゃー! 行く行くー!」


背の高い武留の後をついていく。


「あ、ねぇねぇ、武留」

「なに、めぐちゃん」

「1つ言っときたいことあるんだけど、この学園の天使は僕じゃないからね」

「は? なにそれ、聞き捨てならないんだけど。めぐちゃんを差し置いて誰が天使なわけ」

「同じ生徒会にいるでしょ。ぴったりのエンジェルが」

「え、もしかして耳野のこと言ってる?」

「当たり前でしょー。それ以外いるー?」

「あんなの、めぐちゃんと比べものにもならないよ。ばかだなぁ、めぐちゃんは」

「なんだとー! 武留のくせに!!!」

その時の僕は、会長を置いてきぼりにした事も、授業をサボった事も、深海くんに後で殴られる事も忘れていたんだ……。


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