巡、ようやく我に返る
「武留。また当たってるよ」

「だって、めぐちゃんとくっついてたらそうなるよ」

「ばか」

「あぁ、めぐちゃん。今のばかって可愛いかった。もう1回言って」

「嫌だよ、ばか。……あ、言っちゃった」

「めぐちゃん、天然なの? もう可愛すぎるんだけど。あぁ、可愛い。やっぱりめぐちゃんが好きだよ。本当に好き」

「知ってる。もう今まで何千回って聞いた」

「いやまだ足りないよ。俺のこの気持ち全然伝わってない。今日もっと好きになった。俺はめぐちゃんの虜だよ」

「ばかだな、武留は」


中庭に寝転びながら、向かい合って武留に抱きしめられている。

鼻の頭、頬とキスを落とされて、最後に唇に甘いキスをくれた。


「ん、んふぅ」

「あぁ、めぐちゃんの口の中、やっぱり甘い。ずっとキスしてたいよ」

「ぅん……。たけるぅ」

「あぁぁ、めぐちゃん可愛いね。俺の名前呼ぶめぐちゃんが1番可愛い」

「もううるさい。ちょっと黙って」


舌が溶けて、混ざり合うようなキスを繰り返して、ふと気づく。

ここ、外だ。


「武留! ここ、外! だめ!」

「めぐちゃん、今更? ほんと可愛いね」

ちゅっちゅっとさらにキスを激しく落としてくる武留の頬を強引に押しのけて立ち上がる。
むにゅっと崩れた顔になっても武留は美しい。

しかし、これだけは言っておく。
僕に青姦の趣味はない!!!


「てか、武留。授業、5時間目始まってる!」

「むしろそろそろ終わるよね」

「あう……。深海くんに怒られる……。絶対殴られる……」

「……誰!? 深海って誰! めぐちゃんの何? そいつがめぐちゃんに男を覚えさせた奴? 今から会いに行くからどいつか教えて」

「ちょ、武留。怖いから。お前はちょっと待てを覚えなさい」

「ひどいよ……。俺が寝込んでいる間にめぐちゃん狙われちゃって。めぐちゃんって隙だらけだから中学の時もずっと俺が守ってたのに。あ、言っとくけど、理事長も俺は危険だと思ってるからね。それから、生徒会連中に近づくのも禁止」

「あ、あぁ、うん……」


まさかすでに手を出されたなんて到底言えない。
武留、キレたら何するか分かんないし。


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