ストーカーが出来上がるまで
武留は小学生の時から割と大きかったけど、ほとんど喋らなかった。
髪が黄色い事と目が青いことは周りから異質だったらしい。
そのせいで当時同級生からいじめられていた。

石を投げられても、踏みつけられても平然とした顔で抵抗もしないから、いじめられ放題だった。


1つ年上の武留がいじめられていた事なんて僕は知らなかった。


ただ、ただ、僕はあの頃ヘタリアに夢中だったのだ!
小学5年生ですでに腐の世界に足を踏み入れていた僕はヘタリアBLにその頃ハマっていて、イタリア人のハーフが1つ上にいると聞きつけて興味を持ったのだ。


武留に近づいて、生のヘタリアを見ようとしただけなのだ。
本当にただそれだけ。


青い瞳に興奮して、「すごいすごい、ハァハァ」と目をキラキラさせる僕を、武留はじぃっと見下ろしていた。


そんな武留の頭に、突然石が投げつけられた。
武留は頭から血を流してもじぃっと僕を見ていた。


僕は激怒した。
必ず、かのいじめっ子たちを除かなければならぬと決意した。

走れメロス風に言ってみたけど、実際はそんなんじゃない。
「好きな子はいじめないで優しくするんだ! ほら! 頭は石をぶつけるんじゃなくて、撫でる! これ基本!」といじめっ子たちにお説教をしたのだ。
心の内は、BLカップルを成立させようと必死だっただけだ。


しつこくBLカップルを成立させようとする僕に、いじめっ子たちは面倒になったようで逃げだした。


「くそぉ! いくら青い瞳が綺麗だからっていじめるなんて! あいつらは攻めの風上にも置けない! ふん!」


僕は生ヘタリアをいじめる奴らに腹が立って、地団太を踏んでいた。



「あ、気にするなよ! あいつらはあなたの相手にはもったいない! もっともっと素敵な相手がきっといるから! 肩を落とさないで!」


武留は熱弁する僕をやはりじぃっと見下ろしていた。
頭から血を流したままで。


「君の、名前は?」

武留の初めて発した声に僕は感動した。
ヘタリアなのに、日本語喋れる!奇跡の人だ。
馬鹿な頭で感動したのだ。



「めぐっ、めぐる、綾瀬巡、10歳!」


それから武留のストーカー生活は始まったのだ。


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bkm
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