「めぐちゃん、今違う男の事考えたね」
「なんで分かるの! 武留怖いよ!」
本当に怖い!
ビクビクしてしまう。
中庭の端っこで恐怖のあまりしゃがみこんだ僕の前に武留がしゃがみ込む。
目線を合わされてしまい、綺麗な青い瞳に久しぶりに目が合った。
「めぐちゃん……だめだよ。俺の事ちゃんと見て」
大きな手が伸びてきて、僕の首筋を撫でた。
「んぅ……っ」
やけにエロい触り方をするから声が出てしまった。
「めぐちゃん、絶対、誰かとヤったね」
「…………ヤってません」
あ、棒読みすぎた。
武留がわなわなと震えだす。
巨人が怒りだす寸前のようなそんな気配がする。
「俺、ずっと、ずっと大切に守ってきたのに、誰に奪われたの! めぐちゃんを奪ったやつ殺してやりたい!」
「や、ヤってない」
「嘘ついたって分かるよ。誰! 俺のめぐちゃんを女の代わりにしたの誰! 殺す! 絶対殺す!」
「た、武留、落ち着いて」
「めぐちゃん、誰か言って! この学園でしょ。このクソみたいな学園にめぐちゃんみたいなかよわい子が来たら一瞬で餌食にされるんだから! 誰! 教えて! ぶっ殺すから!」
「……武留、ちょっと待て。落ち着け」
そんなことしたら生徒会全員虐殺しないといけない事になるから!
それはダメ!
エンジェルが攻めだったことは僕の心に傷を残したけど、彼は今でも僕のエンジェルだし!
「俺のめぐちゃん……。めぐちゃん、好きだよ。大好き。俺のだよ、めぐちゃん」
「う、うん、わかった。わかったから」
「ずっと小学生の頃から好き。本当に好きなんだ。めぐちゃんだけが僕の味方だった」
「……いや、あれは」
あれは違うぞ!
味方なんていいものじゃないんだぞ!
武留は母親がイタリア人で、父親が日本人のハーフだ。
薄い茶色の髪に、青い瞳。身長も高く、身体も大きい。
「武留、背伸びたね。身長何センチになったの」
「189」
「うん。巨人だな」