「め、めぐちゃん、会長とくっつきすぎ。離れなさい」
「う、うるさい。僕に近寄るな!」
「いつの間にめぐちゃんはこの学園の生徒に? 俺、最近めぐちゃんの様子見に行けてなかったから、知らなかった。実は俺ここ1ヶ月ほど寝たきりになってて、でもベッドの中でもめぐちゃんの事だけ考えてたんだ。ずっと心配してた」
「ち、近寄るなって!」
武留はそう言いながらも、ずんずんと近づいてくる。
鼻息も荒い。
会長はなぜか珍しくぽかんと口を開いている。
「めぐちゃん、ここの制服もすごく可愛い。可憐だ。似合ってる……」
まずい。
武留の目がうつろだ。
「おい、大和。お前がそんなに喋ってるの初めて見たぞ」
「…………」
「お前が喋っているところ見たら学園中大騒ぎになるな」
「…………めぐちゃん、おいで」
会長の発言には無視かよ!
ていうか、こいつそんなに喋らないの?
僕にはものすごく喋るんだけど。
ていうか、だいたいわかったと思うけど、武留は僕のストーカーだ。
ストーカー歴はすでに5年にはなるだろうか。
今、僕は高1で、小5のあたりからずっと付きまとわれている。
ここ5年の僕は常に武留と共にあると言っても過言ではない。いやまぁそれは言い過ぎか。
武留は1つ年上だけど、小学校の時は同じ学校で仲良くしていた。
中学でも武留はストーカー行為に全力を注いでいた。
武留が高校から全寮制のここに入ってしまったから少しだけストーカーはおさまっていたけど、それでも1週間に何度かは遭遇した。
今考えたらここから僕の地元までどうやって来ていたのか謎だ。
中学の時は放課後になると、教室まで迎えに来ていたし、休み時間もほぼ毎時間だった。
クラスの女子がきゃあきゃあうるさかったっけ。
その頃から僕は腐に目覚めていたから、どうせなら武留と男子がくっつくところが見たかったのに。
腹が立つことに女子人気がすさまじかったな。
そのくせ、武留は女子はまるっきり無視でだったし。
僕にだけまとわりつくから、僕が女子から逆恨みされちゃってよくいじめられたっけ。