日曜日、僕は寮内の売店でお菓子を買い込んでいた。
深海くんはどうやら地元の友達と遊ぶようで、留守にしている。
そのお友達はどうやら悪友というものらしい。
温室育ちの僕に悪友というものはいないが、深海くんなら納得だ。
きっと同じように金や赤の髪をしたいかついお友達なのだろう。
不良×不良、俄然悪くない。
しかし僕は深海くんを好きになって以降、深海くんでのカップリング妄想ができないでいる。
深刻な事態だ。
それはさて置いて、今日はするべき事がある。
僕は絶好のチャンスを得たのだ。
なにをって?
もちろん、大音量でBLCDを流すチャンスだ。
イヤホンで聴くばっかりでストレスが溜まっていたところだ。
せっかく叔父さんが360度サラウンドのいいスピーカーを設置してくれたのに、全然活躍できてなかった。
今日ははかどるぞー!
そのためのお菓子を揃えに来たというわけだ。
お菓子を360度くまなく配置して、僕はイケボを堪能する!
そう決めている!
至福の時のため、カゴにお菓子を詰め込んでいると、後ろから声を掛けられた。
「巡くん?」
「え、あ、エンジェ、光くん……!」
「わあー、会えて嬉しい」
「僕も嬉しいです! 私服もすごく麗しいです」
鼻血が出そうです。
なんで光くんはこうも僕の理想形なんだろう。
ピンクのコットンシャツに、上は茶色のチョッキ?
言い方古い?いや僕って叔父さんっ子だから。
ベストだね、それを着て、下はデニム素材のサルエルパンツに、垂れ下がったサスペンダー。
可愛い!
イギリスの少年みたい!
なんて可愛いのぉ。
サスペンダーなんて高校生男子がしても気持ち悪いだけなのに、エンジェルはキュートすぎて、もう!
「巡くんは部屋着?」
「はうッ! ごめんなさい、こんなお見苦しい格好で……」
消えて無くなりたかった。
Tシャツにグレーのスエットパンツの僕はなんてだらしないのだろう。
一応、Tシャツは叔父さんが買ってきた高級ブランドのものらしいけど。でも。
こんなのエンジェルの隣に並ぶ資格ない!