22
椎名のたくましい腹筋は俺のでどろどろに汚れている。


椎名は自分の腹筋についた精液を綺麗な指で掬い取ると、おもむろに口元に持って行った。
赤い舌先で舐めている。

じっとその様子を見ていると、椎名は幸せそうに微笑んだ。


「千紘さまにはあげませんよ」

茶目っ気たっぷりのその言い方に胸がぎゅっと疼いた。


「お前が冗談を言うなんて珍しい」

「冗談じゃありませんから」

椎名は俺を惑わすように笑みをこぼす。
たまらなく幸せになって、愛おしくなって、テーブルに横たわったまま椎名を見上げた。


「椎名。好き」

「……ありがとうございます」

「お前が世界で1番だ。兄よりも、親よりも。そばにいてほしい」

「はい。私も千紘さまがそばにいれば何もいりません」


椎名は俺の頬を優しい手つきで撫でた。
それから、ゆっくりとお尻に入ったままのものを引き抜いた。


「んぅ……」

鼻から抜けるような声が零れた。
椎名が出したものがたらたらとお尻を伝っていくのが分かる。

むずがゆくて身をよじると、椎名が俺の頭を何度も撫でた。


「掻きだすから、ちょっと後ろ向いてもらっていいですか?」

椎名の声は穏やかだ。
抱き合っているときとまったく違う。

あの時の椎名はやはり別人のようで、思い出してくすりと笑う。


椎名が宝物を扱うように手つきで処理するのをじっと眺めながら、やっぱり俺は椎名のことを想った。

家に帰ったら、安野にお礼を言わないとな。
大事な人と仲直りできたって。

多分、帝お兄様のことだと誤解するんだろうけど。
帝お兄様には悪いけど、代役になってもらおう。


「あ、そういえば」

「はい?」

「来週、皇馬(こうま)お兄様が帰ってくると思う。両親は帰ってこないけど」

「皇馬様というと、1番上のお兄様ですね。ご長男の。なぜですか?」

「俺の誕生日には毎年帰ってきてくれるんだ」


俺が嬉しさを隠しきれずに告げると、椎名が切れ長の目を瞠った。


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bkm
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