「下も。脱がして」
「……はい」
椎名がゆっくり俺のベルトを外す。
履いていた黒のパンツをゆっくり脱がされた。
下着1枚になった俺を、下から上へ舐めるように見た。
下着はすでに盛り上がりを見せていて、それを隠すように手でおさえようとすると、椎名に手を握られた。
「見てっておっしゃった割には恥ずかしいのですか」
「だって。椎名はまだ綺麗に服着てるのに。俺だけ」
椎名が優しく笑って、俺の頬をするりと撫でた。
「私も脱いでも?」
「うん。脱いで。裸でぎゅってして」
「はい」
椎名がおもむろに服を脱ぎだした。
俺の服を脱がすときは、ボタン1つでも丁寧に外していたのに、自分の服の扱いは乱暴だ。
椎名がカッターシャツを脱ぐ。
俺には無い、大きな胸板が見えて、心臓がきゅっと疼く。
「椎名。ぎゅってして」
自分のベルトを外している椎名に声を掛ける。
自分の声が思ったより掠れていた。
椎名が脱ぎ終わるまで我慢できない。
「ふふ、私が脱ぎ終わるまで待ってくれないのですか?」
「むり。待てない……っ」
椎名の大きな手が俺の背中に回る。
掬い上げるように抱きしめられて、テーブルに腰掛けていた俺が浮き上がる。
腰を抱えられて、抱っこされる。
素肌同士が触れ合って、椎名の心臓の音が聞こえてくる。
「椎名。好き」
「私も千紘さまが好きです」
椎名の右手が背中を撫でて、脇腹へと移動する。
俺は宙に足をぶらぶらさせて抱っこされたまま、椎名にしがみつくように首に両腕を回している。
顔が近い。
綺麗な顔をじっと見る。
眉1つ取っても美しくて、神様がこいつだけ丁寧に作ったんじゃないかと思う程だ。
赤くて艶のある唇をうっとり眺めていると、椎名の目が俺を捕えていることに気付いた。
目が合う。
燃えるように熱い瞳。
お互いに吸い寄せられるように唇を合わせた。
「んっ、ん…………ふ、」
「……はぁ、」
唇が合わさって離れる。
ゆるく開いた口から椎名の舌が侵入してくる。
俺の舌をたやすく絡め取ると、それから上の歯列をぐるりと舐められた。