「んぅ……っ」
「あ、千紘さま。大丈夫ですか?」
椎名が慌てて背中を支えて、起こしてくれる。
眉を寄せた、俺の険しい表情に気づいたのか、椎名が困ったような顔をした。
「やっぱり痛みますか?」
「いや、じっとしてれば大丈夫」
「一応、中に出してしまったのは掻きだして、お尻に軟膏も塗っておいたのですが。やはり千紘さまの身体には急すぎましたね。申し訳ありません」
椎名が情けない顔をする。
そんな顔をさせたくない。
俺はそんな顔をしてほしくて、椎名にお尻を差し出したわけではない。
「気持ちよかったからいい。それに、お前と1つになれたみたいで嬉しかった」
「……千紘さま。ありがとうございます。私も嬉しいです。幸せです」
「服も着せてくれてありがとう」
「いいえ」
椎名はようやく困った顔をやめたようで、穏やかそうに俺を見つめて微笑んだ。
思い切って立ち上がる。
椎名は心配そうに背中を支えてきたけれど、慣れると歩けないほどの痛みではない。
「玄関まで送ってくれるか?」
「もちろんです」
椎名と一緒に庭を出た。
もうすっかり冬の匂いがする。
冬は庭も寂しくなるはずだけれど、うちの庭はそうでもない。
最近赤い葉のようなものがたくさん植えられて、それだけで一気に冬の庭になったように思う。
「この赤い葉みたいなのは何?」
「あぁ、これはポインセチアですよ。クリスマスシーズンには街でもたくさん見かけるんです。冬の象徴ですね」
「ふうん。綺麗だな。電飾をして、イルミネーションも見たいな」
「いいですね。庭で少しやってみましょうか。明日から挑戦してみます」
「うん。忙しかったらいいぞ」
「いえ、千紘さまのためなら何でもします」
照れくさくなって、頬を両手で覆った。
椎名はそんな俺を見下ろして、甘い顔をする。
するりと大きな手が俺の頭に乗って、柔らかく撫でてきた。
膨れた顔で見上げると、椎名がかがんで頬にキスをくれた。