「しいな、キスがしたい」
「……はい。小屋に行きますか?」
「うん……連れて行け」
椎名の首に両腕を回す。
椎名は俺を軽々と抱き上げると、腰に腕を回しながら歩き出した。
胸に顔を埋める。
好きだ。椎名が好きだ。
ぜいたくもわがままもしないから。いい子でいるから。
誰も俺からこれを奪わないで。
小屋の中に着いて、椎名は俺を丁重にテーブルの上に乗せた。
首に回した腕の力を緩めて、椎名と至近距離で見つめ合う。
「ん………っ、んぅ…」
椎名が唇を奪うように口付けてきた。
今日はいつもより激しい。
いつも最初はついばむようなキスから始まるのに、今日はすぐに舌を差し込まれた。
こんなに綺麗な男でも、こんな荒々しく俺を求めたりするのだな。なんて事を考えていたら、舌を吸われて身体がビクンと跳ねた。
「あ……っ!」
「千紘さま、好きです」
「ん……ん、ぁ」
肉厚な舌が俺のと絡み合う。
唾液がこぼれそうになって、思わず親指で拭って目を開くと、椎名がこっちをじっと見ていた。
視線が交差する。
「ぁ……、しいなぁ」
「千紘さま、かわいいです。目を閉じて、私にもっと可愛いお顔を見せてください」
言われた通りに目を閉じる。
椎名はそんな俺をも見ているのだろう。
そう思うと、恥ずかしくなって、急に体が熱くなってきた。
「んぅ、しいな。しいな、熱いよぉ」
「どこが熱いんですか?」
唇を離して、5センチの距離で見つめ合う。
椎名は俺の高揚した顔に気付いているだろう。
とろけそうに優しい瞳で俺をじっと見ている。
「……ここ」
目線をチラリと股間部分に下げる。
椎名は一度ゆっくり俺の股間を見て、それから首を横に振った。
「それじゃあ、どこか分かりません。どこが熱いんですか?」
「ぁ……、しいなのいじわる。……ここ。……おちんちん、さわってぇ?」
椎名の喉仏が上下に嚥下した。
目を細めて、俺をじっと見てくる。