「えー、坊ちゃま、あの人とお話した事はあるんですか?」
「まぁな。仲はいいぞ」
「何歳なんですか!?」
宮村が俺にキラキラした目を向けてくる。
なんだなんだ。
こんなにキラキラした可愛い宮村は初めて見たぞ。
いつもは割と冷静で穏やかなタイプなのに。
「そういえば、……何歳か知らないな」
「そうですか。……結婚はしているんですか?」
何歳か知らなかったな。
今日ティータイムの時にでも聞いてみよう。
多分20〜25歳くらいだと思うが。
「あいつ、結婚はしてないな」
「へぇ! じゃあ、彼女は? いるんですかね?」
「彼女……」
俺は女じゃないから、彼女ではないしな。
じゃあ、彼氏か?
うーんまぁ彼氏になるのかな。
「まぁ、彼女はいないんじゃないか?」
「あんなにかっこいいのに! もったいないですね〜」
「あ、でも、彼氏なら……」
言おうとしたところで、口を噤んだ。
これは内緒だったか。
確かバレたら椎名がクビになるとか言っていたな。
それは困る。
「え? 彼氏?」
「いや、なんでもない。宮村は彼氏はいるのか?」
「えー、それ聞きますか? いません。寂しいんです」
宮村は口を尖らせておどけてみせた。
そんな風にしてみせると、若く見えて、思わず可愛らしく思う。
「聞いて悪かったな」
誤魔化すように笑うと、宮村は俺の顔を見ながらにっこり笑う。
「いえ、坊ちゃまに興味を持って頂けて光栄です」
お世辞を言われて、曖昧に頷いた。
お世辞を真剣に取り合うほど馬鹿ではない。
中断していた授業が再開して、そこからは真面目に勉強をした。