今日も家庭教師と勉強をしながら、その合間に窓から時々見える椎名の姿を盗み見する。
やっぱり美しいな。
高いはしごに悠々と上り、枝を剪定している。
かっこいい。
ぼーっと釘付けになっていると、国語の家庭教師の宮村にバレたらしい。
「坊ちゃま? どうされました?」
「あぁ、別に」
「窓の外になにか楽しいものでも?」
宮村は身を乗り出して、外の景色を眺める。
その際、胸元の開いたシャツから豊満な胸の谷間が露わになって、チラリと見てから目を逸らした。
女性は好きだ。
世界中を飛び回る父についていく母のせいで、子供のころから俺は随分と母性というものに飢えていた。
そのせいか、女性らしいものを見ると、ほんの少しホッとするというか、甘えたい衝動があった。
椎名に思うように恋愛の意味でドキドキしたことないけど、女性と言うのは綺麗なものだなと思う。
特にこの宮村なんて、俺の家庭教師の中でも随分若く、年齢は28だったか。
スタイルもいい、顔もそこそこ綺麗だし、何よりあの大きな胸は確かに目を惹く。
椎名を好きになってからは、女性に甘えたい衝動はおさまったから、宮村には特に何も思わないけどもっと小さな頃は宮村に抱っこされてみたいとか思った事が実はある。
まぁ、誰にも言った事はないけれど。
「あ、誰かいますね」
「あぁ、うちの庭師だ」
「へぇー、あ、顔が見えた。うわ、かっこいい〜」
まぁそうだろう。
かっこいいと俺も思う。
メイドのみんなからも王子様と呼ばれているくらいだ。
「あ、こっち見た。きゃー、照れますね」
「そうか?」
椎名がこちらを見ることはよくある。
多分俺を見ようとしているのだろう。
でも今は宮村が身を乗り出しているからか、椎名は不思議そうに首を傾げると、また作業に戻って行った。