熱い。
火傷しそうな温度のそれが顔中にかかって、俺は舌先に乗ったそれを思わずぺろりと舐めた。
「にが……」
「千紘さま、……はぁ……はぁ……すみません。お顔を汚してしまって」
「いい。お前は気持ち良かったのか?」
「はい。思春期の頃みたいに夢中で。千紘さまには大変失礼を……本当に申し訳ありません」
「いいって言っているだろう。俺はお前が気持ちよさそうで嬉しかったぞ」
にこっと笑ってやる。
椎名は情けない顔で笑い返してきながら、慌てたように俺の顔をウエットティッシュで拭きだした。
丹念に何度も綺麗に拭かれて、ついでに股間部分も拭かれる。
きちんと服をお互い着なおして、一息つくと、2人で顔を見合わせて笑った。
「――千紘さま、好きです。愛してます」
椅子に座って、アールグレイを飲んでいた俺に、椎名は突然言う。
紅茶のカップをテーブルに置いて、椎名をじっと見つめ返す。
世界で1番綺麗な男。
目の前で紅茶を飲むさまも優雅で気品がある。
誰が見ても女性ならこの男の事を好きになるだろう。
女性でもなく、魅力的な大人の男性でもない俺の事が好きだと言う。
両親にも放ったらかしにされている俺のことを。
信じられないけど。
でも、さっき俺であんなにも淫らに興奮していた。
「俺のことがそんなに好きか?」
「はい、心から。もう私は千紘さまに夢中です。骨抜きです」
「俺もお前が好き。これからはお前も一緒に気持ちよくなろうな?」
「………はい。嬉しいです」
椎名はとろけるように甘く微笑んだ。
俺も嬉しい。
椎名も一緒に気持ちよくなれるなら、どんなことだってしてやりたい。
愛しい俺の椎名。
お前のことは絶対にこの手から離さないよ。