「千紘さま……」
椎名の顔が傾いて近づいてくる。
俺はゆっくり目を閉じて、椎名のキスを受け入れた。
唇同士が触れ合う。
柔らかい感触。
ただ、唇をくっつけるだけなのに、どうしてこんなにも胸がドキドキするのか。
「……しいな、……ん」
椎名は俺を抱きかかえたまま。
下から奪うようにして唇を合わせてくる。
俺はそれを受け止めるだけで精一杯で、椎名の唇に自分から近づいていくなんてとてもできない。
「千紘さま……ん……」
椎名の吐息がたまに漏れる。
そのたびにいつも股間のあたりが疼くような感覚をおぼえる。
低い声が掠れたように俺の名前を呼ぶ。
息を吸おうとした唇の隙間から、椎名の熱い舌が入り込んできて、それを受け止めた。
まだ慣れはしないけど、最初の頃よりは驚かなくなった。
大きな舌が俺の舌を掬って、強引にからめ捕られる。
「ん、ん、………あ、しいなぁ……しいな………っぁ……」
「……ん、千紘さま、可愛いです」
吐息のような声が何度も“可愛い”を繰り返す。
俺の唇の端からはこらえきれない唾液が滴り落ちる。
「ん、……しいなっ………あ、ぁ」
自分の舌で椎名の舌をなぞる。
俺の小さな舌は椎名に飲み込まれるように、椎名の口内に吸い込まれていく。
口をすぼめて舌を吸われて、思わず大きな声が上がる。
「ああぁっん。やん、しいな……はげし……」
「あぁ、あぁ、千紘さま、可愛い。可愛いです」
俺の身体を抱きかかえながら、椎名は押しつぶすように壁に押し付けてくる。
片手で抱きかかえられて、椎名のもう片方の手は俺の股間をさするように撫でた。
「やぁぁぁん!」
不意打ちのタッチに大きな声が出る。
椎名が黒のスキニーの上から、俺のあそこをさすってくる。