身体同士に少し隙間ができる。
椎名との顔が近い。
やっぱり綺麗な顔、してるなぁ。
庭師なんてもったいない。
あ、まつ毛まで長い。
綺麗な眉。鼻も高くて、すっと通っている。唇も血色がよくて、少し薄めでかっこいい。
目の色を見ようと覗き込むと、なぜか椎名も俺の顔をじっと見ていた。
あ、目はほのかに茶色。
綺麗……。
そう思っていると、どんどん顔が近づいてきて、俺の唇になにか柔らかい感触が触れる。
「え?」
きょとんとする。
離れていった感触を確かめるように自分の唇を人差し指で触れる。
今、椎名の唇が触れた?
キスっていうやつ?
「だめ、でしたか?」
椎名が少し不安そうに首を傾げている。
思わず首を振る。
そう言うと、椎名は嬉しそうにほのかに微笑み、もう1度唇を近づけてきた。
「もう1回しても?」
「……うん。して。さっきのよく分からなかっ……、ん」
言い切る前に唇が塞がれた。
薄い唇は思ったより柔らかくて、夢中でその感触を味わう。
何度も角度を変えて繰り返されるそれに、徐々に息が上がる。
「ん……っ、ふ……んぅ」
唇同士が何度もぶつかって、溶けそうになる。
熱いそれは俺を求めているようで、幸せな気持ちになる。
ちゅ、くちゅ。
唇が交わるたびに、小さな音が鳴る。
向こうも少しだけ息が荒い。