[ 舞台背景 ]

───少子高齢化が加速し人口減少に歯止めが掛からぬ此の状況を打破する為、某国政府は遂に人口減少化対策特別法を施行。其れに基づき対策の要で有る繁殖奨励特区を全国各地に設置。人口増加へ転じる起爆剤になるかと期待された。


繁殖奨励特区とは───一都市の四方を高い壁で取り囲み、其処へ予め記憶・知識・人格の改竄処理を行った繁殖用の人間を送り込み、日常的に繁殖行動を行わせる為の特区で有る。其の特性から屡々、人間牧場とも揶揄される。

繁殖用人間は通常に比べ一般教養や言語能力に遜色は無く、運動能力も個人差は有るが特筆すべき変化は無い。但し、生殖行為に対する倫理観背徳感、又、避妊等の繁殖を妨げる知識に付いては著しく欠如している。此れは先に説明した様々な内面の改竄結果で有る。

特区内にて産まれた子供は特区外の家庭へ養子と送られ、様々な恩恵が与えられる。又、産んだ女性に付いては一定期間の休養を経て再び記憶の改竄を行い、再度子供を宿す為に行動させる。

繁殖が主目的で有る性質上、日常生活に於ける様々な部分は全自動化処理がされている。例えば、市民の大半が利用する公共交通機関は無人自動運転で有ったり、各種商業施設に於ける様々な業務をロボットがこなしていたり、である。


又、特区内の年齢分布に付いては繁殖が主目的で有る事から、10代後半〜20代後半が圧倒的に多い。繁殖用人間は満30歳の誕生日を迎えると、特区外へ送られ政府系の団体が運営する施設に於いて同じ境遇の異性と婚姻し、其の団体より提示された子供を養子として育てる事になる。無論、其の子供達とは特区内にて産み落とされた子供である。


幾ら繁殖用の都市とはいえ妄りに市街地で繁殖行動をされては管理が行き届かない。其の為、都市の住民達は其の年齢や特性に於いて幾つかの施設へ日常的に通勤・通学する事を義務付けられる。其の施設の主な物として市役所・警察署・市立病院・市立高校等が有る。又、其れ等の施設以外にも都市中央部に存在する複合型遊戯施設に於いても繁殖行動が認められている。────裏を返せば其れ以外の、例えば通勤通学途中の公共交通機関内や路上での行為は禁止で有り、違反者は法令が定める所に依る処罰を受ける。但し、其の多くは特区管理者で有る市長や其の部下達の裁量に依る部分が多く、一定期間繁殖行動禁止という処罰が大半で有る。


特区内には繁殖用人間以外にも、極少数では有るが管理や保全を主目的とした人間が居住している。特区の最高責任者で有る市長や各種施設の長は全て管理側で構成される。其の特性上、管理側の人間にも繁殖行動が認められているものの男性は高齢な者も多く、実態は定かでは無い。
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