そして、現在。

「あ、っ!あ、あの……い、ざわ…?」
「ん、なに?」
なに、っておれが聞きたい。
何だって急にこんなことになったんだ。そもそもなぜおれみたいなのがこのモテ男の、伊澤の恋人になれたのかすら、まだよくわかっていない。
なのに、伊澤はおれを家に連れ込んだ途端、ベッドに押し倒してきたりした。そして、いま首とか舐められている。くすぐったい。
「な、なんか、おかしくないかな……」
「だから、なにが」
「何がって、だって……き、急にこんなこと…」
もっと、段階っていうものがあるはずだ。いろいろ飛ばしすぎている。
それとも、おれが知らないだけで、いまの恋人同士ってみんなこうなのか。おれは状況の整理がつかずに、ひたすら取り乱す。目の前には、何もありませんみたいな顔をして、おれのシャツを脱がしにかかる伊澤。
「おれのこと好きっつったの、宮田だからね」
「へ、」
「だから、おとなしくしてられるよな…?」
「……」

「ね、宮田?」と、あのキラキラの笑顔で伊澤が言った。
だけど、今日はその表情をみてもときめかなかった。むしろ、背筋が凍ってしまいそうな感覚さえした。



「う、あぁっ、あ!や、……っい、いた…っいたい…!」
「っ、あー、きっついな……」
力抜いて、と腰を乱暴に打ち付けられながら伊澤がめんどくさそうな声で言う。
逆らえなくておとなしくしていたら、行為はどんどんエスカレートした。いつの間にか下半身まで剥き出しになって、伊澤に全てが丸見えの格好をさせられた。
いくらなんでもはずかしくて耐えられずに、足を閉じようと力をいれてみた。伊澤がおれを睨みながら低い声で、「抵抗すんじゃねえよ」と言った。こんな声出すのか、と怖くなるより先に驚いて固まった。

「い、っ、あぁっ!あ、……うぅ」
初めて身体を貫かれ、痛みしか感じなかった。濡れないそこをこじ開けるように伊澤が入ってくる。裂けたかもしれない。下半身からじんじんと痛みが走る。
「あ、あ……っ、い、伊澤…っ」
「んー?っていうか、宮田、もしかして初めて?」
「…っ、」
てっきりヤったことあんのかと思った、とおれの上でのんきに笑う。
ふと、おれは何でこんなやつに惚れたんだろうと考えてしまった。


 

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