初めてしたキスは、お互いの涙が混じったような味がした。
ゆっくりと、宮田がつらくならないように時間をかけて愛撫した。ときおり聞いたこともないような、宮田の甘い喘ぎ声がして、たまらなくなる。
「……ん、ぁ…んっ!」
「宮田……痛くない…?」
「ん、ん……」
こくこく、と必死で頷く。
指を二本くわえ込んだそこが、苦しそうに、きゅ、と締まる。
「も、もう、大丈夫……、伊澤……」
「……」
おれの腕にしがみつきながら言う。
細い両足を持ち上げたら、宮田が小さく息を呑むような気配がした。


「……は、あ、あ…っ…!」
「……っ…」


繋がったその瞬間。
宮田じゃなくて、おれが泣いていた。
宮田は、おれの泣き顔をみて、なぜかとても幸せそうに微笑んだ。
「……ぅ、んっ、はは……今日は伊澤、泣き虫だ」
「…っ、…」
「でも、伊澤は、笑ったほうがかっこいいなあ…」


大好きだよ、伊澤。
おれのこと、好きになってくれて、ありがとう。


宮田がおれへの言葉を紡ぐたびに、泣けて、何も答えられなかった。ただ、胸の中で「宮田、宮田」と何度も名前を呼ぶ。
泣きながらするセックスは、生まれて初めてだった。こんなに心が満たされる行為だったなんて、いままで知らなかった。
幸せだ。
ほんとうに、心の底からそう思う。


宮田がおれを受け入れてくれたから、おれはおれでいられる。
これから、ふたりでもっといろんなことをしよう。笑って、毎日、ふたりで一緒に。

宮田さえいれば、それでいい。

end


 

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