おれみたいなやつを好きになってしまったばっかりに。

「おれが泣いても、やめないで……もういっかい、伊澤と……伊澤と、したい…」

いっぱい傷ついて。
いっぱい、泣いて。
ほんとうはいまだって、怖いくせに。
こんな、残酷なことまで言わせて。
かわいそうな宮田。
宮田にはおれなんかじゃなくて、ほんとうはもっとふさわしいひとがいるはずなのに。
でももう離せないんだ。
宮田が好きで、いとおしくてたまらない。
ごめん、ごめんね、宮田。



「……っ、」
「……大丈夫?」
「うん、……」

全裸でベッドに転がる宮田は、とても大丈夫そうには見えない。ここに来てからほとんどずっと泣いていて、目が赤いままだった。
頬に触れれば、わずかに身体を震わせる。宮田はずっと、まっすぐにおれだけを見つめている。この距離から宮田を見るのは久しぶりだ。もう何度も見てきた。泣く宮田も、怯える宮田も。組み敷くこの身体だって、幾度となく開かせた。
「……」
「…、……伊澤…?」
宮田の首筋に顔をうずめる。
どうしてだろう。宮田の顔をもっと見ていたいのに、見られない。
あんなに、ひどいことをしたのがまぎれもない自分なのだと思うと、心臓が抉り取られそうに痛んだ。

「……っ、た、…みやた…っ」
「……」

他人に弱みなんて見せたことがない。
いつもおれは、自分を偽って生きてきた。だからいま、宮田の前で泣く自分が、とても不思議に思えた。顔を上げたら、宮田の頬に、情けないおれの涙が落ちる。

「どうすれば、宮田を、楽にしてやれるのか、……もうわからないんだ、っ、やさしくしても、謝っても、だめなんだよ…わかってるんだ……でも、ごめん、…っ、宮田…っ」
「…、伊澤、…」
「…っ……」
宮田の身体に覆いかぶさったまま、みっともなく泣いた。宮田がそっと、おれの背中に腕を回してくる。そして、耳元で一言だけ言った。

「……やっぱり、伊澤はやさしいなあ」

宮田が、涙を浮かべながらやさしく笑った。


 

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