宮田に無理をさせていること。
気をつかわせてばかりいること。
ずっと気づいていた。
宮田はやさしいやつだから、おれにはぜったい言わない。

だから、もっとやさしくしてやりたかった。おれのできるすべてで宮田を守って、あいしてあげたいと思った。
こんなふうにだれかを愛おしく思うのは、ほんとうに初めてのことだった。

卑怯なやつだって言われるかもしれない。
いままで宮田にひどいことばかりして、散々泣かせて。
どれだけ謝っても、後悔しても消えることはない。おれにとっても、宮田にとっても。

もう一度、やり直せたらいいのにと思った。宮田と普通の恋人のようになりたかった。でも、おれはいままでまともな付き合いをしてこなかったせいで、「普通」がわからなかった。
家に連れてきたのは、もう一度、宮田とちゃんと向き合いたいからだった。
部屋に上がると、途端に宮田が泣いた。
おれが無理やり犯したときみたいに泣いた。かわいそうで、見ていられなくなる。
おれは宮田の気持ちを、なにひとつ理解できていなかった。

「ごめんね……」

おれはなんて、ひどくてだめな人間なんだろう。いとしいはずのひとを、こんなに傷つけてしまった。大好きなひとが目の前で泣くようすを見ても、ばかみたいに同じ言葉しかかけられない。
腕のなかで、震える宮田。
逃げ出せばいいのに、宮田はそんなことしない。いつだって。


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