薄い掛け布団にくるまれた宮田を眺めながら、ふと我に返る。
そもそも何で、おれがこんなことをしているんだ。放っておけばだれかがここまで運んで来たはずなのに。倒れたのが宮田だとわかった瞬間、ほとんど無意識に身体が動いていた。

本当に、どうでもよかったはずだ。宮田なんか。こんなやつ、ただの暇つぶしで、飽きたら捨てるつもりでいたのに。
「…っ…、」
「……」
(……くそっ、…)
眠る宮田。苦しそうに息をしている。その様子が、見ていられなくなって、保健室をあとにする。

教室に戻ったら「宮田くんは大丈夫?」と、たいして興味もないくせに何人かの女が聞いてきた。
適当に返して、さっさと帰ろうと思った。思ったのに、宮田の机にまだ制服が置いたままになっているのを見てしまった。
「……」
あいつは、あの状態でどうやって帰るんだ。おれが犯したあとも、いつもふらふらして、立ち上がれずに転んだりした。一度気まぐれに手を貸してやったときには、また泣きそうな顔でおれを見た。送ってやったことなんて一度もない。

「なあ伊澤ー、今日このあとさあ……」
「ごめん、また今度」
「え、おい、」

放っておけないなんて、自分でも信じられない。
誘いの声は最後まで聞かずに、気づいたら宮田の制服と、荷物を抱えて保健室に戻っていた。



「……宮田」

さっきと変わらない状態で、宮田は眠っていた。その辺にあった椅子に腰掛ける。名前を呼んでも無反応だった。


「……、…」
「……」
しばらく隣で寝顔を眺めていたら、ベッドの上でごそ、と身体が動いた。閉じていたまぶたがゆっくりと開かれて、うろうろと不安げに瞳が揺れる。
「やっと起きた」
「!」
声をかけると、すぐに宮田がおれのほうを見た。
「大丈夫?」
「……」
まだいまの状況がわからないような様子だった。体育の最中に倒れたんだよ、と言うと少しびっくりしたような表情をした。
「毎日おれとやりすぎたせいかな」
「…っ」
なんちゃって、と茶化す前に、宮田の怯えた顔が目に入った。熱が高いせいか、頬は少し赤くなっている。


 

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