回数を重ねるうちに、思ったより具合がよくて、女とやるよりいいかもしれないな、と感じ始めていた。

ただ、ひとつひっかかることがある。
宮田の泣き顔。

宮田は毎回、おれが服に手をかけたところから怯えて震えた。いい加減慣れればいいのに、とその姿を見下ろしながら思っていた。身体のほうは、最初に比べれば少しずつ快感を拾うようになってきている。どろどろとローションをかけて突っ込んだ日は、泣きながらも絶頂をむかえた。

それでも宮田は毎回泣く。
身体はちゃんと反応するくせに、いつもとても悲しそうな顔をして泣く。
殴られるのが怖いのか、入れられるのが怖いのか。何をそんなに悲しんでいるのかおれにはわからなかった。
ただ、泣き顔だけが、日を増すごとに焼き付いて離れなくなっていく。その理由もわからない。
こんなに他人のことばかり考えるのは、初めてかもしれない。



最近相手してくれないからつまんない、とよく連絡を取っていた女からメールが来ていた。
確かに最近は宮田とばかり寝ていて、他のやつとはさっぱりだったな、と思い出した。昨日も宮田が意識を飛ばすまで交わっていた。
「……」
一番前から二列目に座る宮田。
ここからは後ろ姿が見える。
昨日もひどい抱き方をして、相変わらず宮田は泣いていた。何度か「やめて」と、か細い声がしたけど、無視した。殴りはしなかった。
後ろからぼうっと宮田の背中を眺める。ときおり身体をまるめて咳き込んでいた。
メールの返信はせずに、携帯電話を机の下にしまった。


 

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