翌日、教室には宮田がいなかった。
なぜかなんて、考えなくてもわかる。
昨日おれが家に連れ込んで犯したから。あれは、まさしく強姦と呼ぶにふさわしい行為だった。朝になってから、やりすぎたかなあとほんの少しだけ反省するふりをした。

宮田は、最初から最後まで泣いていた。うっとうしくて殴ったら、また泣いた。悪循環だよなあ、と思いつつ、泣かれるのがめんどうで、うざくて何度も殴った。
「ずっと好きでした」なんて、照れくさそうな顔で言われたときには思わず、ありえねえよと口に出してしまいそうになった。何とか堪えて、受け入れてやったら、宮田は少しだけ安心したような表情をした。
好きというからには、きっとおれに抱かれたいんだろうと気をつかってわざわざ家に連れてきてやった。なのに、宮田はうろたえて泣いた。わけがわからない。やりたくないなら、ほかに何がしたいっていうんだ。

遊びのつもりだったはずが、昨日の宮田の顔がちっとも頭から離れなくて困っている。
(あー……だるいなあ)
考えるのが面倒になって、明日もし宮田が学校に来たら、また家に来るように言ってやろうと決めた。




「え……」
「なに、嫌なの?」

問い詰めるように言ったら、宮田は泣きそうに瞳をゆらゆらさせた。

次の日、宮田が学校にやってきた。
顔にはおれが一昨日殴った痕がある。
朝、宮田が来てすぐに「今日もうちで遊ばない?」と笑顔で誘った。
いままでなら、おれから声をかければどことなく照れたような顔で何を言っても頷くのに、今日はそうじゃなかった。うつむく宮田をじっと見つめる。よくみると痛々しい顔をしてるな、と他人事みたいに思った。

「うちが嫌なら、学校でもいいよ。何なら、駅のトイレでもどこでも」
「…っ」
「宮田はどこがいい?」

おれは不気味なほどずっと笑顔だった。聞き逃しそうなぐらい小さくて、震えた声で「伊澤の家がいい」と聞こえた。


宮田のことをまるで、都合のいいおもちゃみたいに扱い始めたのは、その日からだった。



 

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