昔から、そういう相手に困ることは一度もなかった。

放っておいても女が寄り付いてくる。初体験は中学入ってすぐぐらいだった。どんな女だったかは、あんまり覚えていない。
とりあえず、笑っておけば、「かっこいい!」「王子様みたい!」と周りが騒ぎ立てるので、おれはそのキャラを演じることにした。女はみんな、おれの顔しか見てないし、おれとヤれれば、他の女に自慢できるとかそんなふうにしか考えていないんだろう。
少なくともいままでおれに「好きだ」と言ってきたやつは皆、そんなやつばかりだった。ようするに、おれは心の底から人なんて信用したことがない。
きっと、だれもおれの内面なんて、見ようとしない。

だけど、同性から熱い視線を送られる日が来るとは予想外だった。
宮田。地味で、ぱっとしない。
そんな印象しかない。直接話した記憶も、あまりない。奴は、ちらちらとすきをみて、おれの様子を観察している。気づいたのは、一ヶ月ほど前。
初めこそ驚いたが、そのうちに少し遊んでみるのも面白いかもしれないな、と好奇心が芽生えていた。「優しくてかっこいい」自分にも、そろそろ飽き飽きしていた。ちょうどいいタイミング。おれにとっては、単なる暇つぶしでしかなかった。

地味で存在感のない、宮田のことなんて本気でどうでもよかった。


 

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