「俺たちって最高の関係だよね!」
 
にっこり。そう聞こえてきそうなほど大きく綺麗に、彼が笑った。しかし唐突な発言に、その言葉の真意を俺ははかれない。だから何がどう最高なのか。それを問うため首を傾ければ、相変わらず彼はにこにこと笑う。
 
「跡部くんは俺が見たことのないものをくれる、俺は跡部くんが見たことのないものをあげられる」
 
そっと優しく、慈しむみたいにそう繋げて、彼はまた大きく笑みを作った。これって最高の関係じゃない?そうやって確信を持って問うのだ。確かに彼の言葉に頷ける部分は存在する。俺は彼の力では到底叶わぬことだって、やってのける自信があった。しかし、それは、つまり。結局、金か。その思いは、口に出ていたらしい。きょとんとした彼は俺を向いて、首を振った。
 
「違うよ、お金とかじゃなくて、跡部くん自身のお話」
 
俺は跡部くんが今まで触れてきたことのないようなものも、教えてあげられるでしょう。それで知らないものを見て、知らないものに触れて、君はきっと知らない表情を見せる。いままで見せたことないような、そんな。あの氷の帝王の、彼の、君の。それが見れるなんて、なんて役得。
 
興奮気味にそう話す彼の言葉を、正しく理解するのは少し難しかった。でも、なんていうか、恥ずかしい。どうしようもなく恥ずかしい台詞を、彼は素で、それも楽しそうに口にするのだ。だから、ねえ、友達になろう、なんて。こいつは本当にどうしようもない奴なんだなあって実感。
 
別にそれは彼じゃない別の誰かにでも務まるのではないだろうか。なんて一瞬の思考はすぐに消える。彼だから、彼じゃなきゃ。多分、そうなのだ。思わず顔を覆った自分の手をずらせば、指の合間から覗く彼はピースサイン。
 
「損はさせないよ、絶対。だって俺ラッキーだし」
 
 
 
 
 
 
交換
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
跡部は深い人間関係にはちょっと不器用で、千石は誰とでも仲良くなれるイメージ。
 
120210




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