今シーズンの冬は特に寒いと言う話だ。確かにその通りやなあ。そう思うのは、冷え切った彼の部屋でだ。もう太陽も昇り切った頃だろうから、布団から抜け出そうとして、止めた。寒さに、そんな気は失せたのだ。俺の住む家よりも、彼の暮らすこの家の方が壁は薄い。だからそこにも原因はあるのだろうけれど、それにしたって寒かった。
 
「……ん」
「起きとったんか」
「今起きたと、」
 
寒さから思わず隣で眠る彼に体を寄せた。すると眠っていると思っていた彼から予想に反して声が返ってくる。しかしまだ眠いのだろう。たどたどしく繋がれる言葉はそこで切れる。俺が言うのも何だけれども、もうええ時間なんやけど。彼は放って置いたらならいつまででも寝ているような、そんな気さえする。だからせめて俺だけでも先に起きるべきか。なんて考えもするが、結局言い訳は、寒さ故に。
 
「千歳?」
 
不意にもぞもぞと隣の大きな塊が動いたかと思えば、俺がそうしたよりもずっと近くへと引き寄せられた。のしかかるじゃなくて、包まれるというか、回された腕に彼の体温を感じる。まさかこれが寝ぼけての行動の訳があるまい。そう思って彼の顔を覗き込めばにこり。歯を見せて悪戯っぼく笑った彼には思わず溜め息だ。
 
「何のつもりやねん」
「こうしてるとぬくかー」
 
相変わらずというか何というか。いまいち正しく成立しない言葉のキャッチボールを前に俺は次の言葉を繋ぐことを放棄する。面倒臭くなってしまったのだ。そうして、結局、絆される。流される。ああ、多分彼の思うがままなんだろうなって。そう思いもするが、別に嫌なわけとかやないし。結局。どうせ。今このひとときだけなんやろって思うから。だから、別に良いのだ。無駄だって一言で切り捨てるには、それはあまりにも重たぎるから。
 
 
 
 
 
たいもり
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
結局ネガティブに落ち着くっていう…
 
120201




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