俺は同じ目線に立とうと必死だと言うのに、彼はいとも簡単にそれを成す。それは嬉しくて、腹立たしくて。嫉妬であり羨望であり、憧憬であるのだ。
 
見下す訳では無い。ただなんとなく、普通に、隣に立って瞳を捉える。なのに立ち位置は決して変えない。彼は凛とした振る舞いで、彼の在るべき場所に在り続けるのだ。俺はずっと見上げて、仰いで、いると言うのに。そんな俺をも彼はなんでもない様子で、でもしっかりと見据えるから。見据えてくれるから。ああ、なんだか、もう。
 
「……狡い?」
 
無意識の内に口に出ていたのか。拾われた言葉にはっとする。思わず顔を向ければ、ちょっと不思議そうに彼は俺を見る。だから、何でもないみたいに振る舞おうとするけれど、そんなの、無駄なのだ。彼の前では何の意味も成さない。だから途切れ途切れに。繋ぐみたいに。口にすれば、襲うのは居心地の悪さである。羞恥とか、そういう感情に支配されるから。笑われるんじゃないかって警戒をすれば、その通り。けれども想像とは全く違った。
 
「そうか」
 
恥ずかしそうに、嬉しそうに。笑うじゃなくて、微笑むみたいに。だから、余計にどうしようもなくなった。そうかそうか、なんて楽しげに口にして俺の頭をくしゃりと撫でる。だから、そんなのって。本当に、狡い。そう思う俺の頬も緩むなんて、そんなの。
 
乗せられたままの彼の手を払えば、にこりと一回。向けられた背中を、俺はただじっと見つめた。
 
 
 
 
 
 
てっぺんのとなり
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
部長と時期部長な組み合わせが好きです。なんだかんだでお互い大好きだよね。
 
120121




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