なんとなく、相容れないなあと思うことはあって。それはもうほとんど直感であるから理由なんてものは大抵の場合後から付いて来るものであって。つまり何が言いたいかっていうと、俺にとっての彼がそれだった。
 
「いくらうちが自由な校風だからって、部活に関しては俺が許さんで?」
 
第一印象は、端正な顔立ちをしているなあ、なんて。そんな程度だった。男だって気にならないぐらいに、白くて、可愛い。けれどもそれは見た目だけの話だった。いや、それには語弊がある。見た目からもそうだったのだ。きっと、彼と俺は違うから。ぜったい、何もかも違うから。相容れることなど出来ないんだろうなあって、思えば、苦手意識。
 
別に悪い人ではない。いや、むしろ良い人なのだ。俺とは比べものにならないぐらいにきれいで、できた人だ。だから、駄目。だから、苦手。段々と彼を知る。そのたびに息苦しさに気付く。彼のきれいなところが無理。彼のただしいところが無理。彼のここが、あそこが。相容れない部分は数え切れないぐらいにあった。なのに、なのに。だから、だから。のぞかせた感情に戸惑う。
 
「今日はよう遅刻せんで来たやないか」
「………部長さんが怖かね」
「ふふ、ええこやないの」
 
ベンチに座る俺の頭を、そう言って彼は優しく撫でた。位置から、必然的に見上げる形になる。そうすれば彼は嬉しそうに笑うから。どうしようもなくなって伏せる。しかしそんな俺は残したまま、彼はすぐにコートに向かってしまう。だから漏れる溜め息。
 
本当は、ずっと前から気付いていたから。言い訳ばかりを作って、逃げ道だけを探していた、けれど。きっと、俺は。どうしようもなく彼に、どうしようもなく彼を
 
 
 
 
 
 
容れない君に思う
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
OVAでの出会いをまるっきり無視ですが、こんな出会いでも。
 
120120




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