また一段と寒くなったなぁ、とか。今年ももう残り僅かだなぁ、とか。理由なんてものは何だっていいのだ。なんとなく、唐突に、寂しくなる。一人で居るのが嫌になる。そんな時もあるものだ。しかしそうは言っても、次の日には授業がある夜の、こんな中途半端な時間だ。今から誰かに会いにいくなんて迷惑をかけることになる。それに明日には会えるのにおかしな話だ。しかしそれよりも、なによりも、俺が本当に会いたい誰かさんは居ないだろうから。はあっと、溜め息だけが部屋の中に響いた。
 
今どこで、何してるの。なんてどうでもいい言葉を、なんでもないみたいな調子で使えたら、良いのに。そんなことを思ってみたって、そうはいかないのが現実だった。携帯を手に取って覗き込んでみても、当然彼からのメールや着信はあるはずがない。分かってる。それが普通だって、当たり前だって。期待する方がおかいしんだってことぐらい。でも、寂しいときには会いたくて、一緒に居たくって、それだって普通のこと。当たり前の感情であるはずなのだ。仮にも彼も俺を思ってくれていると言うのなら、期待ぐらいさせてくれればいいのに。期待、したいのに。
 
もう一度携帯を見つめて、溜め息。彼からの着信が無いのは別に今に始まったことではなくて、もっと、ずっと、前から。遡ってしまえばただそこにある辛い現実を見つめるだけになってしまうから、そんなことは出来ないけれど。でも、待ってたってどうしようもないからダメ元で行動する。あくまで部長として、業務的に連絡内容だけを簡潔に打って、送ってやる。寂しい、とか。会いたい、とか。そこまで素直にはなれないけど。明日はちゃんと来るんやで。そうやって、それが俺の精一杯の術だった。そしてすぐにそのまま携帯をベッドへ放り投げて、追うように自らの身体もダイブ。
 
きっとどれだけ待ったって彼からの返信は無くて、そっちの方が自然で。そうとは分かって居るけれど、携帯を見つめてしまう自分に本日何度目かの溜め息が漏れた。だから、そっと目を閉じる。知らない。気にしたくない。寂しいときに限って居ない彼なんて、いらない。そう思えれば良かったのに。
 
 
 
 
 
寂しいときに限って居ない
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ついったーより3つの恋のお題、寂しいときに限って居ない
 
111202




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