どうしようもないって言うのは、きっと、こういうことなのだろう。そうやって、思う。相変わらず部活の始まる時間になっても姿を現さない。それどころか終わる時間になっても姿を現さなかった、彼。しかし学校に来ていると言うことは、クラスメートからの証言で分かっていた。だから練習で疲れ切った体を引きずるようにして、心当たりの場所を見に行く。そうすれば、予想通り彼の姿。本当にどうしようもない男だ。
 
「……何やっとんの」
「待ってた」
 
俺が来ることなんて分かり切ってたみたいに笑うから、思わず溜め息が漏れる。そんな俺の反応は、きっと正しいはずだ。にこにこと笑う彼を突っ込むみたいに軽く叩く。「阿呆、帰るで。」そうやって立ち上がることを促せば、急に掴まれた腕のせいで距離が縮む。身長も、体重も、一回り近く違う彼の力にかなうはずは無い。
 
「何、盛っとんの」
 
近付いて、重ねる。そこまでは許してしまったけれど、流石にこんなところでそれ以上は出来なかった。まあ、キスまではよしとしてしまった時点で、俺も大概彼に甘いのだけれど。段々と絆されていく自分へ、もう一度溜め息が漏れる。
 
「だめ?」
「絶対あかん。」
 
こんな大きな体をしているくせに、そうやって小動物が縋るみたいな瞳で言うから。ちょっとだけ揺らぐ。けれど、あかんもんはあかん。感情よりも理性が勝る。まだ。だから立ち上がって、今度は俺の方が手を引いた。今度こそ、ちゃんと、帰ろう。そんな意図で伸ばした指先は絡め取られて、また、漏れる。本当に、本当に、どうしようもない男やなって。嫌なとことか、駄目なとことか、そんなとこは沢山知っていると言うのに。それでも好きで、好きで、どうしようもない。結局俺はどうしようもなく、彼が好きで堪らない。それは、まるで百年思い続けたって褪せない。いや、もう百年思い続けている、みたいに。それぐらい当たり前のことになっているのだ。
 
 
(百年の恋って言うけれど、百年の恋って言うのなら、この百年の恋を覚ます方法を、どうか、どうか、)
 
 
 
 
 
 
百年の恋って言うけれど
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ついったーより3つの恋のお題、百年の恋って言うけれど
 
111126




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