もやもやしてつかめない、のではなくて。明確過ぎるはずのそれに与える名前が思い付かなかった。馬鹿みたいにはっきりしてるのに、なんと呼ぶべきか分からない。だから、不明瞭。こんなにもはっきりしているのに、つかんではいるのに、言葉にすることは出来なかった。
 
「考えごとかい、シリウス?」
「うん、まあ」
「男前が台無しじゃないか。」
 
不意に姿を表した彼に、つんっと眉間をつつかれる。しわが出来てる。なんて笑う彼に、なんだか張っていたはずのものが緩む感覚。気付けば、笑みがこぼれた。
どうしたの、なんて問いにお前が原因だとは答えられなくて。でもそれは迷惑をかけられないとか後ろめたいとか、そんな感情からでは無かった。なんか、もっと当たり前みたいな。そうあるべきで、そうでなければいけないのだ。
 
「終わらないと良いなって。」
 
主語がない俺の言葉に、彼からの疑問も無い。お互いに分かり切っているのだ。他人には分からないこと、どうしようもないこと。
 
幸せになれって思うのに、幸せになりたいって思う。本来矛盾でしかないはずの事象が成り立つ。いや、成り立たせていたのだ。取捨選択しないんじゃなくて、しては成り立たないから。きっとそれは当事者である俺たちにしか分からなくて、だから言葉には出来ない。そんなことなのだ。訳が分からなくてもそれが絶対。言葉には表せられない、それが全て。
 
彼と俺と、俺と彼女と、彼女と彼。否定の言葉こそ浮かべど、それらを肯定する言葉は見付からなかった。だから、おしまい。終わらせない為には終わりにしなければいけないのだ。
 
 
 
 
 
ふさわしい言葉などない
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こんなんですが、問題無く成り立つ三人希望。
 
110410




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