何度も重ねて、繰り返して。薄い布団の上で白い天井を見上げながら思う。何やってんのやろ、なんて。そんな今さら。彼と共有する時間が出来れば、いつもお決まりのルートだった。その中で特別なことは何も無い。彼の家でそういうことをする。毎回毎回、それだけ。普通の恋人同士だったなら、こんなことはないだろう。なんて考えて、同性である時点で普通なんかじゃないやろって自分に突っ込む。毎回、それ。でも、そもそも俺達の関係は恋人なんて呼べんのやろうかって。呼べへんよなって。思って、漏れる息と流れる涙の意味を問う。
 
「痛む?」
 
俺の目元を濡らした液体に舌を這わせて、心配げに彼は聞く。その言葉にこくんと頷けば、彼は小さく謝ってそうっと手を伸ばした。目から頬から、優しく優しく。そんな動作に、それはさらに溢れるのだ。痛いのは身体では無いけれど、確かに痛みを持つ場所はずっと、ずっと。どんなに行為を重ねたって、それがもたらす快楽は一瞬で。結局、それらは全て痛みに変わるのだ。痛い、痛い。どうしようもなく。中途半端に優しくなんて、しないで。そんなんだったらいっそ、捨てて。そう繰り返し、願う。
 
「止めんでええよ」
「今日はもう何もせんばい」
「なんで」
「白石が嫌がることは、せん」
 
また、ほら。そういうのって、ずるい。優しく微笑んで、手を動かす。丁寧に俺の髪をとくみたいな動作に、止まらなくなる。でも止まらないのは涙だけで、そこから言葉は何も出てこなかった。止めて欲しい。もう優しくなんて、しないで欲しい。そうしたら俺だって諦められるのに。中途半端な優しさに、縋って、期待なんて、し続けないで済むのにって。繰り返し願ったって、それは彼には届かなかった。形にしないのだから伝わらないのは当然、なのだけれど。最初からそんな気なんて無いのが事実なのだから、仕方ないのだけれど。
 
ぼろぼろとこぼれ続ける涙を、どうにかするすべなんて物を俺は持っていなかった。だから、そのまま。痛みを感じている間は、彼は隣に居てくれるから。それが恋人なんて呼べないような体だけの関係だって構わないから。そうやって繰り返し、繰り返し。手を伸ばして、縋る。
 
 
 
 
 
てない終止符関係性
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
千歳は俺じゃなくて俺の身体を求めてんやろ。って白石。
 
111023




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