続かないなんてことはもうずっと前にとうの昔に分かっていたはずだった。それこそ出会ったときから。初めて彼を知ったときから。殆ど直感みたいな感覚。自分の勘がそれほどまでに鋭いとも確かだとも思わないが、これだけは絶対だった。だって現に今、そういう状況やもん。
 
「……やっぱり帰るんやな」
「ん、いずれはそうなるったいね」
 
なんとなく話題に上がった彼の話。彼のこれからの話。これをなんとなくで出される時点で、あれなのだ。違う。彼と俺と言う存在は、全く、違う。何でも無いみたいに彼が言ったって、何でも無いみたいに俺は思えない。だから、幸せになどはなれないのだ。
 
報われないと知っているなら、報われないことが分かっているなら、それでも思い続けると言うことが不毛でしかないことにも気付かなければならない。無駄だって、切り捨てて、そういう生き方を好んで選んできたのだから。俺は。だから今何をって、迷うまでも無いはずなのだ。切り捨てるべきは、無駄なものは、俺にとっての彼は。
 
はあ。そうやって露骨に溜め息を吐けば俯いた視線を捉えられる。覗き込むようにして、それから、手を伸ばして触れる。顎に手をかけくいっと無理矢理に視線をずらされた。
 
「なんのつもりや、千歳?」
「白石がいらんこつ考えとうから」
 
誰のせいだ、誰のことだ。そう思ってキツくなる俺の視線と裏腹に、彼の視線はふにゃりと緩む。そうしてそのまま視線と一緒に舌も絡め取られた。唇を重ねるだけじゃ済まないのは分かっていて、簡単に侵入を許してしまう自分が居ると言うのもまた確かで。なんだかんだで期待してしまっているのかもしれないと思うとそんな自分には嫌気がさす。でも、でも。ふにゃふにゃと緩く、甘く、過ごす時間は嫌いじゃない。嫌いじゃないとかじゃなくて本当は、だって、気付いてはいるけれど。
 
(どうせ俺の欲しいもんは一生手に入らんのやろ)
 
吐き出せない言葉はそのまま。べろりと彼の口元を舐めて、飲み込んだ。捨てられない俺には今はそうすることしか出来ない。ああ、なんでこんなに無駄なもの、いつまでも捨てられへんのやろ。
 
 
 
 
 
 
しかないのにらせられない
終わりしかないのに終わらせられらない
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ちとくらはラブラブしててもなんかこんな白石君のイメージ。
 
110904




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -