ただなんとなく消耗する日々の中、バーチャルこそが私のリアルだった。別に特別何かをされている訳ではない。別に友達がいない訳でもない。平凡以下でも以上でもない日々だった。悩みはするけれど、それだけでもない。だからと言って常に幸せかと問われれば、当然そんなはずも無いのだ。大多数と一緒。ドラマや映画の世界では、名前ももらえない。それが私だった。

自らつけた名前。作った自分。それを携えて生きる。そんな世界が創造可能。なんとなくのリアルよりも、バーチャルの方が切実だった。一言、二言。一人、二人。そうやって増えて広がりゆく世界。毎日が特別で、鮮やかだった。出会いも別れもあるけれど、より、染みる。明確な意思も持たずに生きていく世界よりも、確かで明確で、生きることを切望。


「     」


たった一言の何でも無い言葉が、気付いたら特別に変わっていたのだ。何人、何十人、何百人。関わりが増えたってそこは現実と一緒で。特別は生まれて。彼か、彼女かも分からぬ存在に馳せた。名前も分からぬ感情を。少しでも知りたい。近付きたい。そんな欲望。ただの妄想。

知らない。私はその人の何も知らないのだ。それは本当かもしれない。でも、そうではないかもしれない。真偽を調べる術すら分からないのだ。でも、初めて少しだけ、望んだ。何よりもリアルなバーチャル。リアルになるバーチャル。現実に、なれ。




「どうしてかな、触れることも叶わないなんて。」




電波を介した君との通信。それが私の初恋だ。







微弱電波










101231




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