ある雨降り昼下がり。

「知っていますか、不変なんて存在しない。」


唐突に背後から声をかけられた。黒いセーラー服に赤いリボン。それは、暗く沈む世界に真実だけが鮮やかに突きつけられる様。ポツポツと降り始めていた雨は、やがて土砂降りに変わる。涙は止め処なく降るようであった。当分雨は止みそうにもない。

「いくら望んだって、終わるんですよ。どんなに祈ったって。」

彼女が持つ四角は、切り取られた世界だ。叶わない、未来。笑っていた、過去。語る、現在。それは黒のバックによく映える。涙の景色によく合った。

「どんなに祈ったって、終わったんですよ。いくら望んだって。」

繰り返すのは、不変無き絶望だ。終わることを嘆き悲しむ。ぐるぐるぐるぐる、堂堂巡り。セーラー服の彼女は立ち止まることは出来ないと知りながら、同じところを歩き続けた。足は止められなくとも立ち止まれますように。君を置いて進むまい、なんて。勝手に作った縛りの中から抜け出せるようにと、必死に雨の中から手を伸ばしながらに。気付かない、無意識の中での矛盾。ならば知らない振りをして、そうやって手を差し出そうか。なんて伸ばす、白。

「良かったね、終わりがあって。」

止まない雨は、無いと言う。抜けられないトンネルは、無いと言う。止まらない涙も、無いだろう。抜けられない苦しみも、無いだろう。全ては、終わりが存在するから。だから、良かったね。俺は、良かったよ。いつか終わりを嘆いた俺は、いつか終わりに笑った。だから、きっと君にも。終わりと共に笑える日が来るだろう。


「知っているよ、不変なんて存在しない。」

ある晴れた昼下がり。







不変無きを思う










101003




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