最近無性に疲れていた。別に何をしたわけでもないけれど、極度の疲労感。帰ってくればやることだけをやって就寝。そんな日々を送る。それなりに要領は良い方たとは思うけれど、そんな自分もこの連日の忙しさにはまいっていたのかもしれない。まだ帰ってきて間もないと言うのに極度の眠気が襲った。こんな時間に寝ちゃ、駄目。そう思って眠気覚ましに飲んだコーヒーも、口に含んだ飴玉も、何の意味もなさなかった。無意識にソファーに移動、睡眠を渇望。微睡む、意識。落ちる、私。

「…さん、もう晩御飯になりますよ。それにこんなところで寝てると風邪引く。」

呼ばれる名前。揺すられる身体。それら全てを認識しているのに、反応には至らない。覚醒しきらない意識を弄ぶ。聞こえてくる声に何か返そうとするのに、形には一つもならなかった。しかし、不意な接触。くちびるに、したに。転がる。

「ちょっと、今っ…!」

たった一つ彼のそれだけの行為で私の意識は完全に覚醒した。不意に唇に触れ、舌に触れる。そして私の口内からは転がり出た飴玉。何が起きたかは簡単。キスをする。否、キスをされた。しかし何故起きたかは難解。キス、って。驚きやら何やらでじっと彼を見つめれば彼はにこり、笑う。

「最近構ってくれないから、寂しくて。」

そして、からから。私のよりいっそう驚いた顔を確認してからは、楽しげに笑い始めるのだ。「なーんてね。飴食べながら寝てると虫歯になるよ。」そんな言葉が述べられる。でもね、一緒に過ごしてどれだけの時間が経ったと思ってんの。どちらが本当かぐらいはとっくに聞き分けられるようになっている。だからこそ私の頬は染まった。馬鹿だよね。馬鹿なのかな。そんなことを考えつつも、私は「起こして」そう一言。上半身だけを起こしたままで、彼の手を握った。






自然に不自然実行中












ついったーより、『「夕方のソファ」で登場人物が「キスをする」、「飴」という単語を使ったお話』

100906




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