もしかしたら、これは恋慕なのかもしれないと思う。愛おしく大切に思う気持ち。ただ一つ対象が異性ではないということを除けば、恋い慕うこの感情はそれで間違いない。しかしその一つ以外にも否定するものは存在していた。決して存在すべきではないもの。それはどうしたって恋慕とは相容れぬ感情であるはずだ。自らの手で幸せにしてあげたいと思う。少しでも世界が彼女に優しいと良いと思う。ずっと変わらぬままに、もしくは今以上に、彼女が笑うことが出来たなら良いと思う。そうやって誰よりも彼女自身の幸せを願った。しかしその一方で、そうは思わない自分が居るというのも事実なのだ。それ以上は、いらないでしょう。これ以上は、望まなくとも良いでしょう。そうやって幸せよりも不幸を祈った。決して自らの手でそうしたいわけではないけれども、私以外の別のものからの理不尽な力によってそうなれば良い。そんなことを馬鹿みたいに一心に思ったのだった。羨ましく、妬ましく思う気持ちがそうさせたのか。それは自分でも分からなかったが、そんな部分をも含めて抱いた感情なのだと思っていた。自分には無いものをもつ彼女は輝いて思えたが、そこにあるは嫉妬や羨望と言うよりも憧憬の方が近いだろう。そう思えたし、そう思って居たかったのだ。だから、あるのだろう。この感情にもっと相応しい名前が。それは、きっと、。






或いは











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