「明日、水族館に行こう!」

いつもの調子で部屋に入って来た彼が俺に差し出した物。それは少し先にある水族館のチケットだった。勢い良く差し出されたそれは無料招待券であり、数は二枚。片手で揺らしながらに彼は笑う。せっかくもらったのに期限は明日。ちかちゃんには外せない用がある。なんて、運が良いんだか悪いんだか。思わず手にとってしまったそれをまじまじと見つめれば、二人仲良くイルカを指差す姿が浮かんだ。なんて、気持ち悪い。そんな自分に吐き気を覚えて顔をしかめれば、つんっと眉間を人差し指でつつかれる。

「明日午後無いんでしょ?俺もだからさ、駅のいつものとこで待ってる。」

それじゃあ、と彼は簡潔に用件だけを伝えたかと思うと珍しくあっさり部屋から出て行った。嵐のように来て嵐のように去る彼に俺の思考回路は鈍くなる。そのせいで、チケット二枚を返しそびれてしまうほどに。

(全く、しょうがないなぁ。)

はぁっと俺はチケットを見つめたまま溜め息を吐いた。俺がチケットを二枚持っている限り、彼に会わなくてはいけない理由がある。だってこのチケットには何の罪も無いのだから、このまま無駄にしてしまうのは勿体無い。明日、会って返そう。でも使わなければせっかくの無料招待券なのに勿体無いから、どうしても行く人が居ないようなら俺が行こう。なんて考えて、彼の思い通りに動いてしまう自分自身に苦笑。


「本当に、しょうがない。」







アクアリウム











>何でもいいから堀宮を!(リハビリリクエスト)

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