「眠れない。」

そう口にすれば、当然のように同じベッドへと誘われた。狭いベッドだと言うのに、彼はそっと布団を捲り俺の為の場所を作ってくれる。

「どうぞ、アルト姫。」

なんていつもの調子で俺を呼んでくれるけれど。もう眠るだけだった俺たちの格好は当たり前だがラフなものだ。そういう気分ではないと予め断れば、いつも発情してるみたいな言い方は止めろと彼は笑った。だから完全に警戒心を解いた訳では無いけれども、俺は見つめるだけだった彼のもとへ動く。


「姫つめたーい。冷え症?」
「ちが、くはない。」

彼と一枚の布団にくるまれれば、居場所を探していた手を掴まれた。こんな狭い場所で一枚の布団に入っていれば、全身が密着しあうのは必然だ。そんな中で彼はさらに手を足を絡め俺に触れるから、俺の最初の言葉なんて結局聞いてないんじゃないかって思った。だからそれを示すようにと小さく睨むようにすれば、冷えているから寝れないんだよなんてかわされた。まあ、それも一理あるだろうし嫌な気持ちはしないから。俺もそんな彼の手を恐る恐るに握り返す。そんな俺に彼は微笑み抱き締めて、俺の頭を自分の胸へと埋めるようにした。そうすれば、どくんどくんと彼の胸の音が鳴るのが聞こえて不思議と安らぐ自分に気付く。彼の音が温度が、生きているという証全てが、俺には心地好かったのだ。


「ミシェル。」
「なぁに、アルト。」

見上げるようにして彼を見つめれば、彼はまた優しく俺に微笑みかける。そしてそっと俺をなでて、屈むようにして口づけを落とした。





おやすみ、姫君










>ミハアル(リハビリリクエスト)

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