いつか、未来。そんなものは存在しなかった。一寸先は闇だなんて、未来全てに絶望を抱いたわけでは無いけれども。夢物語の如く華やかで幸せなだけの未来などは到底有り得ないのだから、存在しないと言う言葉は正しいのだ。それに、終わりは見えている。一時の幸せには必ず終わりがあるなんてことは分かり切っていて、さらに終わらせるのは彼自身なのだ。無機質で必要最低限の荷物しか無い俺の部屋で、彼は唯一のリアルであり、何よりも幻想だった。だった、のだけれども。それも全て目の前に終わりがあるからこそなのである。

「ユウ。」
「……ラビ。」

そう口を開くのは、何も彼を求めたからではない。彼もそうではない。けれどもそうしなければならないと言う根拠の無い義務感から何度も何度もそう、交わした。時代から、立場から、性別から、何もかもから。どうしたって幸せだけに包まれた未来は存在しなかった。なのに、お互いにお互いを求めずにはいられないのは何故か。そう自分自身に問うたって答えは見つからなかった。いや、答えからは目をそらしていたかった。だから、俺たちは歌う。声にならない声で、真実を見ないが為に、終わりを見つめてセレナーデ。





終りの為のセレナーデ











>あえてのラビユウが見てみたい。(リハビリリクエスト)

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