第一印象は大切だ。それはあたしが今までに身を持って体験してきたことであった。新しい出会いには必ず第一印象と言うものが生まれ、厄介なことにそれは一生つきまとうのだ。最初の頃と変わったね、なんて言葉だって結局比較している。一度出来上がってしまったそれは簡単には拭えないものなのだ。悲しいことに、ね。

(でも、今回は大丈夫。)

あたしは鏡に映る自分自身ににこりと微笑みかけた。この前まではちょっときつめのブラウンに染めていた髪も今では真っ黒。服装だっていつもの黒を基調としたものではなく、好印象を与えるようにとふわふわと女の子らしいものを選んだ。正直言って今日のあたしは自分に自信があったのだ。これなら第一印象は問題ないでしょう、とあたしは嬉々とした気持ちで父親の呼びかけに答え鏡の前を後にする。

そう、ここまでは全部思い通りのシナリオ。しかし意外にもそれを崩したのは向こうの彼だったのだ。


「よろしくお願いします。」

新しい家族だよ、なんて紹介された彼は青かった。それは顔色が、とかじゃなくてもう見たまんまの話。整った顔立ちに礼儀正しい態度。なのに、黒い髪に入る鮮やかな青メッシュ。まさか、こんなの予想外だったわ。そう小さく肩をすくめれば、「頑張ったのに、ごめんね。」なんて彼が口にするものだから私は驚きに口をあんぐりと開けたまま、静止してしまった。





逆転の青










090824




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