「ったく、お前はネクタイも満足に結べねぇのかよ。」

はぁ、と俺は大袈裟にため息をついてやった。勿論聞こえるようにとわざとだ。絡まったネクタイに手をかけながら、睨むように彼を見つめる。すると彼は緩い笑みなんてものを向けて来るから、俺はそんな顔面に拳を埋め込んだ。全く、こいつの頭の中には何もつまってないんじゃないかって呆れる。呆れる、のに、そんな不器用な様子すらが愛おしいと思ってしまうのだから俺も大概馬鹿なのだろう。

「これぐらい出来なくてどーすんだよ。」
「え?獄寺が居るじゃん。」

呆れた様子で投げかけた俺の疑問に、彼はそれが当たり前のことであるかのように答えた。何だよ、俺をそんな風にただの使える奴って思ってるとか嫌だよ。なんて言葉は俺には口に出来ないけれども。きっと悪気があって言っていることではないと思うので前向きに受け取っとく。

「いつまで、」
「一生。」


何気なく口にした疑問に返ってきた言葉に、俺は顔を真っ赤に染めてしまうことになるのだけれど。彼も俺の絞めすぎたネクタイに顔を赤くするから、思わず二人して笑ってしまった。






結び











091026




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