「シズちゃんさぁ、俺のこと好きでしょう?」

唐突にぶつけられた言葉に、俺は怒りを覚えるよりも先に疑問を抱いた。こいつはいきなり何を言ってるのだろうか?そんな俺の疑問符を浮かべた表情を見てか、彼はくすりと笑う。かと思えば、ぐっと俺との距離を縮めて見透かすような視線を注いで言った。


「だって本当に嫌いなら、取るべき手段はいくらでもあるでしょ。それをやらないで君は俺の安い挑発に乗って俺を追いかけるばかりだ。本当に俺のことが殺してしまいたいぐらいに憎いなら、こうやってわざわざ顔をあわせるような真似はしないはずだ。俺になんて関わらないで君は君自身の日常を守って平和に暮らせば良い。わざわざ厄介事に関わる理由なんて無いのだから。でもそれは出来ないって言うんだよね。それこそが何よりの理由だ。証拠だ。

シズちゃん、君は俺を求めずには居られないんでしょう?」


たたみかけるようにして言われる言葉の数々に、俺は一瞬言葉を無くした。けれども理解をすれば簡単。俺にはそれを否定する以外の行動は必要無い。決して必要など、無い筈なのだ。

「何調子乗ってんだよ、臨也」
「じゃあ、キスでもしようか?」

俺の反論に彼は提案を返す。意味が分からなくて再び言葉を失う俺だったが、彼だけは先程までと何一つ変わらない。楽しげに余裕を持って俺に接するばかりだ。

「シズちゃんが、本気で俺を嫌っているなら、殴るなり蹴るなり好きにすれば良い。この距離から本気を出されたら、間違い無く俺は吹っ飛ぶからね。でも君にはそれは出来ないよ。気まぐれかもしれない。けれども思い人がキスをしてくれるだなんてチャンスを、みすみす逃すわけにはいかないからね」

言い終わると彼はまたにこりと顔を歪めた。そしてもう言葉は紡がずに、両腕を伸ばして俺の頬に触れる。一秒、二秒、時間の経過と共に近付く距離はまるでカウントダウンだ。無くなったらおしまい。時間ではなく距離が。そして目と鼻の先にまで近付いた彼を俺は、





零距離











100221




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