「君はどうなのって、聞いてるの」

何度繰り返しても、彼は沈黙を貫く。耳に聞こえぬわけではない。目に見えぬわけでもない。しかし抹消。俺の存在を否定。馬鹿だね。普段、様々な否定が飛び交う中での無言はそれだけで肯定になる。時には口よりも目よりも、沈黙が多くを語ることもあるのだ。なのに、そんなことにも気付かないなんて。馬鹿だね。

「俺は好きだよ。シズちゃんのことがたまらなく好き。ねぇ、シズちゃんはどうなの。さっきからずっと聞いてるんだけど、ねぇ、」

もう何度繰り返したかも分からない言葉を前に、彼は未だ沈黙。口を開かない。本当に、馬鹿だね。沈黙は語るよ。君が思う以上に多くを、沈黙は語る。だから、もう分かってるんだ。口にしない、目に出さない、理由。君が形にしなくとも、沈黙は伝えるから。本当に、俺は馬鹿だね。


「早く、言えば良いのに」





「好きじゃない、って」








沈黙が語る半分の愛













100824




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