つらつら、つらつら。述べる、彼。彼を、俺。つらつらと、彼を述べる俺。それを黙って聞く目の前の彼女はひとしきり聞き終えた後に溜め息を一つ吐いた。普段あまり感情を外に出さない彼女が珍しい。そう思い問えば、予想外の返答。


「まるで、  みたいね」


有り得ない。そんな筈は無いと、即座に否定。そうすれば彼女は面倒臭そうに言葉を紡ぐ。それが聞こえない訳じゃない。むしろはっきりと聞こえる。けれどもそっとシャットダウン。そして自身の正当性の証明の為に、向かう俺。彼のもとへ。なのに、何かな、それ。

「何、その傷」
「……別に手前には関係無いだろ」
「許さない、よ」
「は?」

向かう彼の頬には傷。そんなもの、俺は知らなかった。俺がつけたはずのないそれは何、嫌だ。そうやって、ぐるぐる。俺の意識とは別のところで回る感情が、それだって、言うのかな。

「相手に手を出して、返ってくる反応にいちいち喜ぶ。自分の手で傷つくのに快感、拙い独占欲。誰かに話したくてたまらない。そのくせ言及への否定。答えなんて、一つじゃないの」

反芻。繰り返し、繰り返し、彼女の言葉が響いた。彼の反応を見るのが楽しくて、しょうがない。つけた傷に自分を見て、満たされた感情。他のものは絶対に、許さないけれども。そう考えて、考えるほどに気付く。気付かされる。まるで、みたいな感情。まるで、みたいに






まるではつこいみたいに











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