机に隠れた彼の手を、不意にぎゅっと握ってみた。そんな俺の行動に一瞬びくりと体を震わすが、彼にとっては進級にも関わる大切な授業中である。だから、一瞬俺をきつく睨んでおしまい。彼が下手なことは出来ないのを、俺は知っていたのだ。しかしそれではつまらない。無理矢理冷静を装うとする彼を、そのままにしておくなんて俺らしくない。そう思った俺は、彼の握った手の指先を絡める。するとまた彼は体を震わした。ああ、驚いてる驚いてる。そんな彼の反応が愉快でしょうがなくて、俺はばれないように小さく笑う。そしてそんな俺を彼はきつく睨みつけるのだが、が。

「え、シズちゃんもしかして照れてんの?」

彼のきつい視線の下の頬は、ほんのりと赤く染まっていた。指を絡ませただけでこんな反応を見せるだなんて、とんだ純情である。しかしそんな彼を見ていると、なにか俺の中でもやもやとした感情が動いて。気付けば無意識的に手を動かしていた。絡めた指先をぎゅっと握っては、解いてそっと指の上を走らせる。その度に、いちいち反応を見せる彼が可愛くて仕方なかった。本当はすぐにでもやり返してやりたいはずなのに、それはかなわないもんね。そう思ってにこりと笑ってやれば、何故か彼もにこりと笑った。ぼきっ。なんて明らかに耳にしてはならない音とともにだけれど。こんなところで負けてられない。そう思った俺はまた小さく口を開いて、宙を舞う机に勝利の確信をした。






アンダーザファイト











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