ちょこんと目の前に腰掛けるのは彼ではあり、彼ではなかった。きゅいきゅいと音をたててシェイクを飲む姿はいつもと何一つ変わらないようだが、確かに違う。全く違う。何と言うか、こう、サイズが。後、中身もか。

「静雄…、くん?おいしい?」

何故こんなことになっているのか。それは俺自身もよく分かっていない。ただ、目の前には幼い子供。そして見た目こそ幼く中身もそれ相応なのだか、その人物は静雄だ。そんな事実だけが、ただ目の前に広がっている。只今そんな状況。

どうしたものか。どうするべきなのか。うーん、と頭を悩ませる俺を彼はちょっと首を傾けて見ている。しかし不意にこくんっと頷けば、今度はハンバーガーに手を伸ばした。たぶん、おいしいかどうか聞いた俺への返事だろう。そんな些細な動作が、無駄に可愛い。中学からの知り合いとは言え、それ以前の彼は知らなかった。だからかもしれないが、普段とは違う姿で動く彼がいちいち新鮮で愛おしく思える。まだ体も小さく庇護欲をそそられる、彼。まぁ、幼い頃から有り余る力には悩まされていたようだから、実際はそんな守ってあげるべき存在ではないのだろうけど。それでも父性本能と言うか何と言うか、そんな感情が俺の中で動いていた。

「なに、」
「いや、可愛いなぁと思って」

じっと見られているのが気になったのだろう。不審そうに眉を潜めて彼が言うから、俺は笑顔で素直に答えた。すると彼は顔を真っ赤にして驚いたように、俺を見る。あら、意外と言うか予想通りと言うか。いつもの彼と何ら変わらない目の前の彼の反応に、俺の口からは自然と笑みが漏れた。

「かわいいって…!」
「誉めてんだよ」

顔を赤くしたまま反論をする彼の頭を俺はぽんぽんっと優しく叩く。どうせ今日はもう仕事は無いし、あったところでこなせそうもない。だから一日こいつの面倒でも見てやるか、なんて考えた。まぁ、本人が嫌でなければの話しだが、たぶん大丈夫。こいつは何も変わらない。姿も、中身も違っても静雄だから。いつもそうするように、甘やかしてやるか。なんて。俺は後ろをついて歩いてくる彼に笑いかけた。





変わらないね











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