「なんで俺がシズちゃんなんかと星を見上げてるんだろうねぇ」
「知るか。俺が聞きてぇよ」
「それもそうか」

軽い受け答え。二人切りの夜。満天の星空と言うにはあまりにも粗末な都会の空の下、それは確かな違和感だった。俺達二人に、こんなにも穏やかな空気が流れるなど有り得ない。俺達二人が、二人切りなど有り得ない。そしてそれが心地好いだなんて。俺もそろそろ駄目なのかも、なんて一人苦笑を漏らす。すると眉を潜めて俺を見て、彼はとうとう狂ったか、なんて。何を今更。これが狂気の一片だと言うのならば、俺はとっくにそれに犯されている。

「シズちゃん、流れ星に願い事をかけると叶うって知ってる?」
「……それぐらい、知ってる」

彼の言葉には適当に笑って返して、俺はまた一つと言葉を続ける。彼はそんな俺の意図が計り知れないとでも言うように慎重に言葉を紡ぐが、それだけで俺は満足。にこりと笑って行動に変更。

「あれ、本当。叶うよ」

驚きからかとっさに行動に移れない。そんな彼の唇を奪って俺は笑った。理解出来ないとでも言うように動きを止めた彼に、俺だけは状況を理解。心地好いのなんて当たり前だ。ずっとずっと俺は求めていたのだから。きらきらと光る星空の下、笑う俺と固まってしまった彼。俺は君にこれ以上は恨まれたくはないから、恨むのなら俺の願い事を叶えた流れ星にでもしておいてね。なんて冗談混じりで笑えば、また一つ空を星が横切った。嘘、どうしようもないぐらいに感謝してるのが本当。





流れ星の仕業











100227




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