ぐるぐる、ぐるぐる。包帯が巻かれた。とびきりのきれいにと言うわけではないけれども、ひたすらに優しく丁寧に。


「…ありがとうございます」
「いやぁ、本当はちゃんと本職の人にやってもらうべきだとは思うんだけどね」

お礼を言えば彼は何でもないことかのように答えて、苦笑を漏らす。いつも、そうだ。俺が傷を作れば、彼は当然のように手当てをしてくれる。本来それは普通のことかも知れないのだけれど、俺は普通ではないから。純粋に嬉しいって気持ちと一緒に疑問が半分。

「どうしてトムさんはいつも俺にこうしてくれるんですか?多分普通の人よりも何倍も、俺は丈夫です」

だからそれを口にする。疑問をぶつけて、紡がる答えを待った。しかし、別に何を想像していたわけでも無いけれど、彼の答えは単純。そして難解。

「痛いから」

痛い、って。傷を負ったのは俺であって彼ではない。彼が痛がる必要など無い筈だ。それとも目の前で血を流されていたら視覚から痛みを感じてしまうものなのか。なんて考えてみるがそれは無いだろう。そんな繊細な心を持ってちゃ、こんな仕事はやってられない。それならば、何故か。今度は口に出さずに疑問を向けると、彼はぽんぽんっと優しく俺の頭に触れて言った。

「静雄が怪我をしている姿なんて、俺は見たくないんだよ」


ぐらぐら、ぐらぐら。瞬間何かが揺れる音がして、何かにおちる音がした。






ぐるぐらおちる











100222




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